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日本の神々-古事記編-葦原中つ国の統治権

※括弧付きの数字は記事番号で、この記事外の時系列(原典表記順)で、その神についての説明があった場合に、説明の前に付けてある

時系列で追っていきたい場合はその部分は読み飛ばすことを推奨する

・正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命(マサカツアカツカチハヤビアメノオシホミミノミコト)

  宇気比の儀式のときに、須佐之男天照大御神の左の角髪の玉飾りを噛み、その後に吐いた息が霧に変わりその中から生まれた神(詳細)で、天照大御神の子

  その名は宇気比で勝ちを得たことを示す

  万幡豊秋津師比売命(ヨロズハタトヨアキツシヒメノミコト)を妻に、天火明命(アメノホアカリノミコト)天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命(アメニギシクニニギシアマツヒコヒコホノニニギノミコト)に生んだ

  母神である天照大御神に、葦原中つ国の統治のために高天原から葦原中つ国へと降るように命を受けたが、降りる途中に天浮橋から地上を見て、荒々しい強暴な国つ神が大勢いることを知り、高天原に引き返し天照大御神にその旨を伝えた

  これを受けて、天照大御神と高御産巣日神天安河の河原で思金神を含む多くの神を集め、どの神を地上に遣わせれば国つ神たちを帰順させることが出来るかを議論させ、結果天照大御神の子である天之菩卑能命(アメノホヒノミコト)を遣わすことになった

  (20)建御雷之男神(タケミカヅチヲノカミ)から葦原中つ国の平定(詳細)の報告を受け、天照大御神は当初の予定通りに天之忍穂耳命を降らせようとしたが、天之忍穂耳命は平定中に生まれた自身の子である日子番能邇邇芸命を降らせることを提案し、それが認められた結果、父の代わりに日子番能邇邇芸命が葦原中つ国に降って統治することになった

  →詳細は邇邇芸命の天孫降臨の段へ

・天之菩卑能命(アメノホヒノミコト)

  宇気比の儀式のときに、須佐之男天照大御神の右の角髪の玉飾りを噛み、その後に吐いた息が霧に変わり、その中から生まれた神(詳細)で、天照大御神の子

  天安河の河原で行われた、どの神を葦原中つ国に遣わせれば荒々しい国つ神たちを帰順させることが出来るかについての会議の結果、地上へと遣わされた天之菩卑能命であったが、大国主神に諂い従ってしまい三年経っても、高天原に帰らず連絡も取らなかった

  そのため天照大御神と高御産巣日神は再び思金神を含む多くの神を天安河の河原に集め、次はどの神を送り込むかを議論させ、その結果天若日子(アメノワカヒコ)を遣わすことになった

・天若日子(アメノワカヒコ)

  天津国玉神(アマツクニタマノカミ)の子

  下照比売命〔シタテルヒメノミコト 高比売命(タカヒメノミコト)のこと〕と結婚した

  還矢(カエシヤ)

  天安河の河原で行われた、どの神を葦原中つ国に遣わせれば荒々しい国つ神たちを帰順させることが出来るかについての二度目の会議の結果、狩りに用いる天之麻迦古弓(アメノマカコユミ)天之波波矢(アメノハハヤ)を授けられ、地上に遣わされた

  しかし天若日子は地上に降りるとすぐに、大国主神の娘である下照比売命を妻にし、葦原中つ国を乗っ取ろうとして、八年経っても高天原に帰らず連絡も取らなかった

  天照大御神高御産巣日神は前回と同じように、思金神を含む多くの神を天安河の河原に集め、天若日子に八年経っても帰らず連絡もしない理由を問いただす役目を誰に任せるべきかを議論させ、その結果、鳴女(ナキメ)という雉を遣わして尋ねさせることになった

  そして地上に降りた鳴女は、天若日子の家の前の湯津楓(ユツカツラ 枝葉が繁った桂の木 諸説あり)に止まり命令通りに尋ねた

  しかしその声を聞いた天佐具売(アマノサグメ)という女が、声が不吉に聞こえるから鳴女を殺すべきと天若日子に進言し、この言葉を聞き入れた天若日子は、天照大御神と高御産巣日神から授かった天之麻迦古弓と天之波波矢を使い鳴女を射殺した

  その矢は鳴女の胸を貫通し、地に落ちず逆に上昇し、天安河の河原の天照大御神、高木神(タカキノカミ 高御産巣日神の別名で、なぜかここで表記が変わる)の元まで届いた

  高木神が血が付いた矢を手に取り、その矢が天若日子に授けた天之波波矢である事に気付き、これを大勢の神に見せた後、天若日子が命令に背かずに強暴な神を帰順させるために射た矢がここまで届いただけならば当たらないように、しかし背く反逆の心を持っているならば当たるようにと言ってから、その矢が通って開いた穴を通るように衝き返した

  矢は朝まだ寝ていた天若日子の胸に当たり、天若日子は死んだ

・天佐具売(アマノサグメ)

  天若日子高天原からの使いである鳴女(ナキメ)を射殺すように進言し、還矢ひいては天若日子の死のきっかけを作った女

  →詳細は天若日子の還矢の段へ

・鳴女(ナキメ)

  葦原中つ国に遣わされてから八年経っても連絡を取らない天若日子にその理由を問いただすために、高天原の神々が地上に遣わした雉

  命令通りに伝えるが、天佐具売(アマノサグメ)の進言によって天若日子に射殺される

  →詳細は天若日子の還矢の段へ

・天津国玉神(アマツクニタマノカミ)

  天若日子(アメノワカヒコ)の父

  高天原にいたが、息子の妻である下照比売命〔シタテルヒメノミコト 高比売命(タカヒメノミコト)のこと〕の嘆く声息子の死に気付き、自身の妻子と共に葦原中つ国に降りて、共に嘆き悲しんだ

  その後、喪屋(モヤ 本葬まで遺体を安置しておく小屋)を作り、河に住む雁を岐佐理持(キサリモチ 死者に供える食べ物を盛った器を持ち棺に従う)とし、鷺を掃持(ハハキモチ 喪屋掃除のための箒を持つ)とし、鴗(ソニドリ カワセミの古名)を御食人(ミケビト 死者に供える食べ物を作る)とし、雀を碓女(ウスメ 臼で米をつく役目の女)とし、雉を哭女(ナキメ 葬式の際に泣く役目の女)とした役割を定めて、八日八夜に渡って歌い舞った(葬送儀礼)(魂の慰撫のためか招魂のためか考察の余地あり)

  弔問に訪れた阿遅鉏高日子根神(アヂシキタカヒコネノカミ)を見て、天若日子によく似ていたため、天津国玉神を含む皆が天若日子と勘違いしてしまい、阿遅鉏高日子根神を怒らせてしまう

・阿遅鉏高日子根神(アヂスキタカヒコネノカミ)

  大国主神多紀理毘売命の子で、天若日子(アメノワカヒコ)の親友

  後に迦毛大御神(カモノオオミカミ)と呼ばれる

  別表記に阿遅志貴高日子根神(アヂシキタカヒコネノカミ 天若日子の段で初出)がある

  天若日子の葬式に弔問に訪れた時、その容貌が天若日子によく似ていたので、天津国玉神(アマツクニタマノカミ)を含む全員に天若日子だと勘違いされ、泣かれ縋りつかれたことに怒った(穢れた死者と勘違いされたため)阿遅志貴高日子根神は、大量(オオハカリ)という名の十掬剣(トツカノツルギ)で、喪屋を切り伏せて蹴とばした後跳び去った

  この蹴とばされた喪屋は美濃国(ミノノクニ 岐阜県)の藍見河(アイミガワ 今の長良川)の川上にある喪山(モヤマ)となった

  その後名前も告げず去っていった阿遅志貴高日子根神のことを、その妹であり天若日子の妻でもある下照比売命〔シタテルヒメノミコト 高比売命(タカヒメノミコト)のこと〕が歌を歌って、その名前を皆に知らせた

・高比売命(タカヒメノミコト)

  大国主神多紀理毘売命の子

  天若日子(アメノワカヒコ)の妻

  別名に下光比売命・下照比売命(シタテルヒメノミコト 後者の表記は天若日子の段に初出)がある

  還矢(カエシヤ)によって夫が死んでしまったことを嘆き悲しんだその泣き声は、高天原まで届き、天若日子の死を義父である天津国玉神(アマツクニタマノカミ)やその妻子に報せることになった

  また天若日子の葬式の際、皆に死者と勘違いされ怒り名前を告げずに飛び去ってしまった兄、阿遅鉏高日子根神(アヂシキタカヒコネノカミ)の名を夷振(ヒナブリ 田舎風)の歌(以下)にして皆に知らせた

  「天なるや 弟棚機(オトタナバタ)の 頂がせる(ウナガセル) 玉の御統(ミスマル) 御統に 穴玉(アナダマ)はや み谷 二渡らす(フタワタラス) 阿遅志貴高日子根神ぞ」

  「天上の機織の少女が首に掛けている玉飾りの玉の輝きが、二つの谷を繋ぎ渡るがごとく輝かしい阿遅志貴高日子根神よ」

・天之尾羽張神(アメノオワバリノカミ)

  鋭利で優れた刀の意をもつ十握剣(トツカノツルギ)である天之尾羽張(アメノオワバリ)の神格化

  伊邪那岐火之迦具土の首を切り落としたときに使った剣で、その際に以下十六柱の神を作る

  ・石拆神(イハサクノカミ)

  ・根拆神(ネサクノカミ)

  ・石筒之男神(イハツツノヲノカミ)

  ・甕速日神(ミカハヤビノカミ)

  ・樋速日神(ヒハヤビノカミ)

  ・建御雷之男神(タケミカヅチヲノカミ)

  ・闇淤加美神(クラオカミノカミ)

  ・闇御津羽神(クラミツハノカミ)

  ・正鹿山津見神(マサカヤマツミノカミ)

  ・淤縢山津見神(オドヤマツミノカミ)

  ・奥山津見神(オクヤマツミノカミ)

  ・闇山津見神(クラヤマツミノカミ)

  ・志芸山津見神(シギヤマツミノカミ)

  ・羽山津見神(ハヤマツミノカミ)

  ・原山津見神(ハラヤマツミノカミ)

  ・戸山津見神(トヤマツミノカミ)

  →詳細は伊邪那岐・伊邪那美神-前の火之迦具土の該当段へ

  別名に伊都之尾羽張(イツノオワバリ)がある

  天照大御神高木神(タカキノカミ)が再び思金神を含む多くの神を天安河の河原に集め、どの神を葦原中つ国へ遣わせれば荒々しい国つ神たちを帰順させられるかの三度目の会議の結果、天之尾羽張神が選ばれたが、天之尾羽張神は自身の息子である建御雷之男神を使うように進言した

  元々天安河にいた神々も天之尾羽張神の代役に建御雷之男神を挙げていたため、この進言は通り、葦原中つ国へは建御雷之男神が送られることになった

  また天之尾羽張神は天安河を上流で塞き止め、その水で道を塞いでいたため、選ばれた旨を伝えに行く役目は矢の神格神である天迦久神(アメノカクノカミ)が担った

・天迦久神(アメノカクノカミ)

  天安河の河原で行われた会議の結果、葦原中つ国に遣わされることになった天若日子(アメノワカヒコ)天之麻迦古弓(アメノマカコユミ)と共に授けられた矢である(詳細)天之波波矢(アメノハハヤ)の神格化

  別名に天之加久矢(アメノカクヤ)、※天之真鹿児矢(アメノマカゴヤ)がある

  三度目の天安河での会議の後、天之尾羽張神(アメノオワバリノカミ)葦原中つ国への派遣者に選ばれたことをその家まで伝えに行った

 

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