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易(二十二)-周易六十四卦-遯・大壮

六十四卦(十六)

詳しい前書きは易(六)を参照

本文の構造としては、性質の部分がその卦の性質つまりその卦に対応する物事の性質を表し、の部分が該当する物事への総合的な対処方法、の部分は卦の性質の構成物としての性質の詳細情報と、該当する物事への細かい対処方法である。

書き下し文は卦辞、爻辞のみで「中村璋八・古藤友子(1992)『周易本義』明徳出版社」を引用している。しかしその解釈文は、卦辞、爻辞、彖伝、象伝なども参考にしたものであり、また引用文とは異なった書き下し方をして解釈した部分もあるので、書き下し文と解釈文が食い違うことがあるということをご留意願いたい。

またそれぞれの卦の後ろの一言は「丸山松幸訳(1973)『易経-中国の思想第七巻-』徳間書店」の引用である。一言でその性質を分かりやすく示すとして記載したが、私の解釈とは一致していない場合もある。

33.遯(トン)遯(天山遯 テンザントン)一歩後退

  性質

  遯は退避を示す卦である。

  艮の卦に乾の卦が載っている卦で、その形は陰の勢いが増している時であることを示す。そしてその勢い増して退かずに留まるもの(艮)と、剛強(乾)に対峙するのではなく、時の流れに逆らわずに退避するということを表す。

  大象は天に迫る山であり、天はその山を潰すことなく領域を譲るということを表している。

  

  ・遯は亨る(トオル)。小は貞しき(タダシキ)に利し(ヨロシ)。

    ―(遯の道に従えば)上手くいく。小人は貞淑を保つのが良い。(陰たる小は成長しているが、だからといって必要以上に陽を侵すのは良くない)

  

  ・初六、遯尾なり。厲し(アヤウシ)。往くところあるに用ふるなかれ。

    ―逃げ遅れる。災があるので、動いてはいけない。(卦の形から上位ほど先に逃げることを考えると、初爻は最も逃げるのが遅い)

  ・六二、これを執ふる(トラウル)に黄牛の革を用ふ。これを説くに勝る(トオル)なし。

    ―立派な牛の革で縛られているような、堅固な意志である。これを崩すことはできない。(九五と中正、陰位の陰爻で保守的である)

  ・九三、係遯す。疾(ヤマイ)ありて厲し。臣妾(シンショウ)を蓄へば吉なり。

    ―繋がれる豚(豚は逃げ足が速いことから、この卦では例に出されている)。関わりによって苦悩し疲れて危うい。臣や妾を養う程度ならば良い。(下の陰との関わりができる)

  ・九四、好遯す。君子は吉なり。小人はしからず。

    ―好みの状況でも離れる。君子はできるが、小人はできない。(初九と正応であるが、剛健の陽爻で退避することができる)

  ・九五、嘉遯す。貞しければ吉なり。

    ―よく退避する。正しい志を貫くならば吉である。(六二と中正、正)

  ・上九、肥遯す。利しからざることなし。

    ―豊かな豚。良くないことはない。(九三と不応でしがらみがなく、悠々と退避する)

34.大壮(タイソウ)大壮(雷天大壮 ライテンタイソウ)喧騒の虚しさ

  性質

  大壮は興隆を示す卦である。

  乾の卦に震の卦が載っている卦で、剛健(乾)に動く(震)を表すことから、勢い盛んなことを示す。また卦の形は、上に昇る性質をもつ陽が盛んになっている様子を示す。

  大象は天に鳴り響く雷である。

  

  ・大壮は、貞しき(タダシキ)に利し(ヨロシ)。

    ―正しい態度を貫けば良い。(正しさがあって初めて順調に栄えることができる)

  

  ・初九、趾(アシ)に壮ん(サカン)なり。征きて凶なること孚あり。

    ―信念が極まって足が盛んである。進めば凶。(陽爻であり、興隆の時流の中、前に進もうとするが、最下位であり分不相応)

  ・九二、貞しければ吉なり。

    ―中庸の徳を維持すれば吉である。(不正であるが、中爻)

  ・九三、小人に壮を用ひ、君子は罔(モウ)に用ふ。貞しけれども厲し(アヤウシ)。羝羊(テイヨウ)藩(マガキ)に触れて、その角を羸ましむ(クルシマシム)。

    ―活発さ自体は正しいことだが、危うい状況にある。そのような状況下でも、小人はその勢いを活かして進むが、君子はその蛮勇さは持ち合わせておらず、進まない。血気盛んな牡羊は垣に突っ込み、角をひっかけて苦しむ。(下卦の最上位 時流とはいえ、考えなしに突っ走ることを戒める)

  ・九四、貞しければ吉にして悔亡ぶ。藩決けて(ヒラケテ)羸まず。大輿(タイヨ)の輹(フク)に壮んなり。

    ―正しい態度を貫ければ吉で、悔いることはない。垣は開いて苦しみはなくなる。車は大きく、その輹(車体と車軸を繋ぐ部品)は十分に堅固である。進むべきである。(上二つは陰爻なので、障害はなくなる また陰位にあって、九三のような蛮勇性は抑えられる)

  ・六五、羊を易(タヤスキ)に喪ふ。悔なし。

    ―牡羊の姿は見失うが、悔いるようなことはない。(不正 陰爻で活発さはなく、進むことはない)

  ・上六、羝羊藩に触れて、退くこと能はず、遂む(ススム)こと能はず。利しきところなし。艱しめば(クルシメバ)吉なり。

    ―牡羊は垣に向かって突っ込むが進めず、角が引っ掛かって退くこともできない。良いことはないが、苦しみに耐えれば吉である。(興隆の極致で活発に過ぎ退けず、陰爻なため進むこともできないが、耐え忍ぶ陰の徳を実践すれば吉である)

 

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