オレンジと青

易(三)-易の原理-陰陽論

易は人をも含む万物の変化の道理を明らかにし、その道理に従い互いに影響を及ぼし合う万物の有り様をつかみ取ることで、生きるための指針を得ようとした。

この道理を掴んで生き抜く指針とするために先人は三つの段階を踏んだ。

(1)現象を極限まで単純化し

(2)単純化した概念を再構築することで

(3)事物をいくつかの類型に分類する、というものである。

この記事で今から説明する(1)の部分は陰陽論と同義であり、これは陰陽論の一応の完成が易経によるものだからである。

つまりこの記事は易の原理の一部であるが、陰陽論そのものの解説でもあるということである。そういうわけで、この記事は陰陽五行説についての解説群でも使用しており、そちらでは陰陽論の成立についての記事を出しているので、その部分が気になる方は是非読んでいただきたい。

陰陽論-陰と陽とは何か

(1)の単純化の段階では、まず事物を極限まで単純化した形として、唯一無二の根源的存在である太極という概念を生み出した。補足説明は必要ないだろうが、全てが一つである以上に単純なことはない(と思われる)

しかしこれでは単純すぎて人間には掴みようがないために、この太極からという対となる対立概念を派生させた。

これは数多ある一対の対立概念(例えば柔と剛や弱と強)の最も根源的な形として定義付けられたもので、つまるところ柔や剛といった対立概念を一般化したものである。

元々柔や剛などの対立概念は事物に内在する性質を単純化したものであるので、陰と陽だけで事物について表すことができ、それ故に陰と陽は万物の構成要素という面も持ち合わせている。

つまり木々の堅さという性質を示そうとしたときに、ある程度の柔らかさと堅さが入り混じった木々の堅さを、柔と剛という対立概念に(多少具体度を上げるならば比率として)還元することができるが、その上でそれらの対立概念を陰と陽という形にさらに還元するということである。

陰と陽に還元された対立概念群、象徴事物としては以下のようなものがある。

柔・弱・低・暗・受動的・女性的・地・月・偶数・方など
剛・強・高・明・能動的・男性的・天・太陽・奇数・円など

数多の性質を単純化した概念として陰と陽は成立している

陰陽論-陰と陽の原理

上段では陰と陽の根本的な性質を説明した、ここでは陰と陽の原理を説明する。少しずれているように思うかもしれないが(1)単純化の後半過程として扱う。

易もとい陰陽論では、陰と陽は元々一つの太極であり同根であるため、互いに往来、交合し、また対立概念であるため互いに消長し転換するという関係性をもつ。

そしてこの往来、交合の働きによって万物が形成され、その構成要素である陰と陽が流動的に動き回る(消長転換)ということが、万物の留まることのない変化、詳しく言うなれば循環するという変化、発展するという変化を生み出すというのが、陰陽論の原理、その肝である。

万物の形成の部分については、前段のところで説明した手順を逆にしたものであるので、理解はしやすいだろうし、後半部分については、構成要素である概念が対立概念とせめぎ合うようなイメージを描けば理解しやすいと思う。

以上をざっくりとまとめると、事物における陰陽の比率の変化が万物の有り様を形作るということになる。

そしてこの根本原理の説明の際によく出されるのが、以下の太極図である。

太極図太極図

太極図は、大きな円(太極)の中に陰と陽が存在することから、万物そのものである太極が陰と陽の対立概念で成立していること、また陰と陽が左右で消長し合っていることから、双方の消長を示している。加えて陰の中には小さな陽が存在し、逆に陽の中にも小さな陰が存在することは、陰は陽に成り得るし陽も陰に成り得る、則ち双方の転換を示している。

陰陽論-記号

易には陰と陽を表す記号が存在し、それぞれ陰 (陰)、陽(陽)である。

この記号の由来にはいくつかの説があり、生殖器崇拝の名残で女陰の象徴である陰を陰の記号に、男根の象徴である陽を陽の記号にしたとするものや、二で割れる偶数を弱の象徴として陰、割れない奇数を強の象徴として陽とし、この偶数と奇数を抽象的に示したものとして、陰陽が作られたとする説もある。

陰陽論-まとめ

このように古代中国の思想家たちは、事物を極限まで単純化することで万物を 陰陽という二つの概念で表すことが出来るようになり、その原理を構築することで、陰陽論は東洋文化圏に多大な影響を及ぼす思想体系となった。

それ故に、陰陽論は易以外の場所にもよく出現するので、理解を深めておくと役に立つことも多々あるだろう。

 

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