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易(十三)-周易六十四卦-謙・豫

六十四卦(八)

詳しい前書きは易(六)を参照

本文の構造としては、性質の部分がその卦の性質つまりその卦に対応する物事の性質を表し、の部分が該当する物事への総合的な対処方法、の部分は卦の性質の構成物としての性質の詳細情報と、該当する物事への細かい対処方法である。

書き下し文は卦辞、爻辞のみで「中村璋八・古藤友子(1992)『周易本義』明徳出版社」を引用している。しかしその解釈文は、卦辞、爻辞、彖伝、象伝なども参考にしたものであり、また引用文とは異なった書き下し方をして解釈した部分もあるので、書き下し文と解釈文が食い違うことがあるということをご留意願いたい。

またそれぞれの卦の後ろの一言は「易経-中国の思想第七巻- 徳間書店 訳:丸山松幸 1973」の引用である。一言でその性質を示すとして記載したが、私の解釈とは合わない場合もある。

15.謙(ケン)謙(地山謙 チザンケン)実るほど頭をたるる稲穂かな

  性質

  謙は謙虚、謙遜を表す卦である

  艮の卦の上に坤の卦が乗っている卦で、高い山(艮)が低い地(坤)の下に止まり、外(外卦は坤)に柔順であることを示す

  

  ・謙は、亨る。君子は終りあり。

    ―謙虚ならば上手くいき、有終の美を飾れる。

  

  ・初六、謙謙(ケンケン)たる君子。用て(モッテ)大川を渉る。吉なり。

    ―謙虚に謙虚を重ね自身を養う君子は、大きな川を渡るような困難に直面しようとも吉である。(卦の最下位で陰爻、柔順の極み)

  ・六二、鳴謙(メイケン)す。貞にして吉なり。

    ―謙虚さが行動に表れ、名が広まる。ここで奢らず謙虚にいれば吉。(中爻で正)

  ・九三、労謙(ロウケン)たる君子。終りありて吉なり。

    ―功績があろうとも謙虚にある君子は、万民が心服し有終の美を飾れる。〔正で唯一の陽爻、下卦(下位)に甘んじており、陰爻から心服を受ける〕

  ・六四、利し(ヨロシ)からざることなし。謙を撝へ(フルエ)。

    ―謙虚であるなら全て良し。さらに奮うべし。(正であり、上卦の下位に甘んじる 九三の上位として謙虚に邁進しなければならない)

  ・六五、富まずしてその鄰(リン)を以ゆ(ヒキユ)。用て侵伐(シンバツ)するに利し。利しからざることなし。

    ―富を用いずに人徳によって隣人を率いる。服従しないものを征伐しても良し。また他の物事も全て良し。(君主の位でありながら柔順な陰爻であり、謙虚さがある)

  (原文)・上六、鳴謙す。用て師(イクサ)を行り(ヤリ)、邑国を征するに利し。

  (異説)・上六、冥謙す。用て師(イクサ)を行り(ヤリ)、邑国を征するに利し。

    (原文)―謙虚さが行動に表れ名が広まり、軍隊を動かすことも出来るが、自分の領地内の平定するくらいにしか使うべきでない。(謙の卦の極致だが、陰爻で強く出るべきでない)

    (異説)―謙虚さが分からなくなり、度を過ぎて卑屈になる。軍隊を動かすことも出来るが、自分の領地内の平定するくらいにしか使うべきでない。(謙の卦の極致である、つまり行き過ぎ)

  原文は鳴謙であるが、これは冥謙であるという異説があり、上爻の性質と易の満ちたものは欠け始めるという基本原理を考えると、私としては異説の方を推したい

16.豫(ヨ 予とも)豫(雷地豫 ライチヨ)歓楽の功罪

  性質

  豫は歓楽を表す卦である

  坤の卦の上に震の卦が乗っている卦で、地(坤)の上に雷(震)が轟き、エネルギーの発散を示し、また道理に従順(坤)に動く(震)ため万事順調に進むことを示す

  

  ・豫は、侯(キミ)を建て師(イクサ)を行る(ヤル)に利し。

    ―君主を立てて軍を動かすに良い。(九四に従う他の陰爻)

  

  ・初六、鳴豫す。凶なり。

    ―喜びを吹聴し、その結果は凶である。(九四と正応、これに援護されるが傲慢が過ぎる 不正) 

  ・六二、石に介たり。日を終へず。貞にして吉なり。

    ―石のごとく固く正道を守る。歓楽に溺れる兆しを悟って、一日と掛けず正道に戻り吉である。(正で中爻 ちなみに蒋介石の名はこの爻の原文の初文、介于石の字から取ったとされる)

  ・六三、盱豫(クヨ)す。悔ゆ。遅ければ悔(クイ)あり。

    ―こびへつらい歓楽に溺れる。悔いる。改めるのが遅ければ悔いが残る。(不正で中爻でない 九四がすぐ上にある)

  ・九四、由豫(ユウヨ)す。大いに得る(ウル)あり。疑ふなかれ。朋(トモ)、盍ひ(アイ)簪る(アツマル)。

    ―歓楽の体現者であり、志は大いに達成される。同志と会いそして集まる。人を疑うべきではない。(唯一の陽爻で他の陰爻を従える)

  ・六五、貞なれども疾めり(ヤメリ)。恒に(ツネニ)死せず。

    ―正しいが病む。しかし死ぬことはない。(自身が君主の位にあるのに九四に従うことと歓楽とによる悶々と病む しかし中爻であり滅ぶことは無い)

  ・上六、冥豫(メイヨ)す。成るも渝ふる(カウル)ことあり。咎なし。

    ―歓楽に溺れ惑い、滅びは近い。しかし心を入れ替えれば、過ちも罪も無くなる。(歓楽の極み 震の卦の最上位であるので、成ってもまた動くことができる)

 

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