オレンジ

易(六)-周易六十四卦-乾・坤

六十四卦(一)

ここからは六十四卦を詳しく見ていく。

六十四卦を解釈するときの心得として、六十四の類型で全ての事物の性質を示すため、字面通りに受け取るのではなく、その本質を理解するように努めることを心掛けてほしい。

また易(四)の爻の関係が頭に入っていると、それぞれの爻の理解が深まるので適宜参照しながら解釈を進めていってもらいたい。中正だけでも押さえてもらえれば、理解度がだいぶ変わってくるだろう。

本文の構造としては、性質の部分がその卦の性質、つまりその卦に対応する物事の性質を表し、の部分が該当する物事への総合的な対処方法、の部分は卦の性質の構成物としての性質の詳細情報と、該当する物事への細かい対処方法である。

書き下し文は卦辞、爻辞のみで「中村璋八・古藤友子(1992)『周易本義』明徳出版社」を引用している。しかしその解釈文は、卦辞、爻辞、彖伝、象伝なども参考にしたものであり、また引用文とは異なった書き下し方をして解釈した部分もあるので、書き下し文と解釈文が食い違うことがあるということをご留意願いたい。

またそれぞれの卦の後ろの一言は丸山松幸訳(1973)『易経-中国の思想第七巻-』徳間書店」の引用である。一言でその性質を示すとして記載したが、私の解釈とは合わない場合もある。

1.乾(ケン)乾 六十四卦(乾為天 ケンイテン)盈つるは欠くる兆

  性質

  乾は剛強の卦である

  万物の根源の力の一つである創造力を司り、天の象徴、またこれを統べるものでもある

  全てが剛強、積極の性質を持つ陽爻で出来ているため、この力は天から妨げられることなくどこまでも伸びていく

  卦 

  ・乾は元い(オオイ)に亨る(トオル)。 貞しき(タダシキ)に利し(ヨロシ)。

    -乾の正しい道を守って進めばすべて上手くいく。

  万物のどの時点においても万物の天性を引き出す

  

  万物の全過程を示す

  ・初九、潜竜(センリョウ)なり。用うる勿れ。

    -潜んでいる竜(陽の性質を表す象)であり、まだその力を発揮できない。動かず力を蓄えるべし。(陽爻が最下位)

  ・九二、見竜(ケンリョウ)、田(デン)に在り。大人(タイジン)を見るに利し(ヨロシ)

    -潜んでいた竜が地上に現れ、天下に恵みが行きわたる。優れた人物の教えを受けるのが良い。(正で中爻、九五ほどではないが徳が溢れている)

  ・九三、君子、終日乾乾。夕べまで惕若(テキジャク)たり。危うけれども咎なし。

    -君子(当事者のこと)はよく努め夕方には慎んで一日の反省をするならば、危険に陥っても咎めを受けるようなことは避けられる。(正だが中爻でなく、内卦の最上位の陽爻で危うい)

  ・九四、或いは躍らんとして淵に在り。咎なし。   

    -竜が飛ぶか飛ばないか決めかねている。慎んでよく考えるならば過ちや罪は無い。(九五に近いが、外卦の最下位で動きかねる)

  ・九五、飛竜(ヒリョウ)、天に在り。大人を見るに利し。

    -竜が飛び天にいる。行いは徳が高いが、なお優れた人物の教えを受けるのが良い。(正で中爻)

  ・上九、亢竜(コウリョウ)なり。悔あり。

    -極限まで昇りつめ降りられない竜である。満ちればいずれ欠けるもので永遠は無い。動けば悔いることになる。(最上位)

用九とは六爻全てが老陽であるとき(つまり之卦として全て陰になるとき)に用いるもので、乾の卦にしか記載がない

  ・用九、群竜(グンリョウ)の首なきを見る。吉なり。

    -竜の群れがあるが首(頭)がない。人の先頭に立たなければ吉である。(剛強から柔順に転じた)

2.坤(コン)坤 六十四卦(坤為地 コンイチ)母なる大地

  性質

  坤は柔順、包容の卦である

  万物の根源の力の一つである生成力を司り、地の象徴でもある

  全てが柔弱、従順の性質を持つ陰爻で出来ており、その無限の包容力で地はあらゆる事物を乗せそれを育て栄えさせる

  天と地の徳の広大さは同じであり、乾の力は坤の力なくしては発現しないし、逆もまた然り

  卦

  ・坤は、元い(オオイ)に亨る(トオル)。牝馬(ヒンバ)の貞しき(タダシキ)に利し(ヨロシ)。君子、往くところあるに、先んずれば迷い後る(オクル)れば得て、利を主る(ツカサドル)。西南に朋(トモ)を得、東北に朋を喪う。貞しきに安んずれば吉なり。

    -牝馬のように柔順な態度をとり、坤の正しい道を守って進めば吉であり、すべて上手くいく。君子(当事者)がどこか行くときには、先頭に行けば迷うが後ろからついて行けば利益を得る。西南に行けば友を得、東北に行けば失う(この文は諸説あり)。

  

  ・初六、霜を履みて、堅氷至らん。

    -霜を踏んで、堅い氷が張ることを予測する。(陰の始めで大きな陰の前兆)

  ・六二、直・方・大なり。習わざれども利しからざることなし。

    -地のように直・方で大きな徳がある。習熟していなくても上手くいく。(正で中爻)

  ・六三、章(アヤ)を含む。貞(テイ)にすべし。或いは王事(オウジ)に従うも、成すことなけれども終りあり。

    -才能を隠し従順にしておくべき。王の命で何か仕事をするとしても、大きな成功など願わずに終わるべき。(不正で内卦の最上位)

  ・六四、嚢(フクロ)を括る。咎もなく誉れもなし。

    -袋の口を括る。才能を隠しておくならば罪も過ちも無い。当然栄誉も無い。(正で陰が続く、また中爻でない)

  ・六五、黄裳(コウショウ)なり。元吉(ゲンキツ)なり。

    -黄色の袴。黄色は力、高貴を表す中央の色(五行説)で袴は下に着けるものであり、坤の徳を示している。大いに吉である。〔陰爻(柔順)であるが天子の位にいる〕

  ・上六、竜(リョウ)、野に戦う。その血は玄黄(ゲンコウ)たり。

    -竜と竜が野で戦う。その血の色は黒と黄で、これはそれぞれ天と地の色である。すなはち陰が極まれば陽と争うということである。(極致)

用六とは六爻全てが老陰であるとき(つまり之卦として全て陽になるとき)に用いるもので、坤の卦にしか記載がない

  ・用六、永く貞しきに利し。

    -正しい道を長きに渡って進むなら良し。(柔順から剛強に転じる)

 

前←易(番外)-周易六十四卦-一覧

次→易(七)-周易六十四卦-屯・蒙

スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です