オレンジ

易(二十一)-周易六十四卦-咸・恒

六十四卦(十五)

詳しい前書きは易(六)を参照

本文の構造としては、性質の部分がその卦の性質つまりその卦に対応する物事の性質を表し、の部分が該当する物事への総合的な対処方法、の部分は卦の性質の構成物としての性質の詳細情報と、該当する物事への細かい対処方法である。

書き下し文は卦辞、爻辞のみで「中村璋八・古藤友子(1992)『周易本義』明徳出版社」を引用している。しかしその解釈文は、卦辞、爻辞、彖伝、象伝なども参考にしたものであり、また引用文とは異なった書き下し方をして解釈した部分もあるので、書き下し文と解釈文が食い違うことがあるということをご留意願いたい。

またそれぞれの卦の後ろの一言は「丸山松幸訳(1973)『易経-中国の思想第七巻-』徳間書店」の引用である。一言でその性質を分かりやすく示すとして記載したが、私の解釈とは合わない場合もある。

31.咸(カン)咸(沢山咸 タクサンカン)心のふれあい、恋

  性質

  咸は交感を表す卦である

  この卦は兌の卦が艮の卦に乗っている卦であり、若い女(兌)にへりくだって楽しませる若い男(艮)を表し、この男はその立ち位置を忘れずに留まり(艮)、女はそれを喜んで受け入れる(兌)ために、交感を表す卦となる

  また上の陰卦が下って下の陽卦は昇るという点も交感を示している

  大象は山の上にある恵みの沢である

  

  ・咸は、亨る(トオル)。貞しき(タダシキ)に利し(ヨロシ)。女を取る(メトル)は吉なり。

    ―上手くいく。咸の正しい道(正しい交感の仕方)を進めば良い。嫁の娶りに成功する。

  

  ・初六、その拇(オヤユビ)に咸す。

    ―足の親指に感じる。感応は微弱であり動くこともない(初爻)

  ・六二、その腓(コムラ)に咸ず。凶なり。居れば吉なり。

    ―ふくらはぎに感じる。凶であるが、動かないで受動的態度を守れば、害はなく吉である。(ふくらはぎは行動する際に真っ先に動く部位だが、九五と中正で正位にあり、陰爻たる自分の受動性を守る)

  ・九三、その股(モモ)に咸ず。執れ(マモレ)。それ随いて往けば吝なり。

    ―腿に感じる。主体性がなく、動けば非難を受けて恥をかく。(正で自律的に動くことのない腿の位置に当たる)

  ・九四、貞しければ吉にして悔亡ぶ。憧憧(ショウショウ)として往来すれば、朋爾(ナンジ)の思に従う。

    ―正しい態度を信念として守るのならば、害されることなく悔いも残らない。心が定まらずにふらふらしているのならば、同類の仲間だけが従う。(九三、九四、九五の三陽の中であるが不正)

  ・九五、その背肉(セジシ)に咸ず。悔なし。

    ―背中の肉に感じる。私的な関係を築かずに公正であって、後悔するようなことは起こらないが、大きく心が動くようなこともない。(六二と中正だが、他の部位とは逆側に位置する背中の肉に当たり、感じることも感じさせることもない)

  ・上六、その輔頬舌(ホキョウゼツ)に咸ず。

    ―顎、頬、舌に感じる。不誠実にぺらぺらと喋り、凶。(感応の極致であり悦びの極致、人を不誠実に悦ばせ感応させる)

32.恒(コウ)恒(雷風恒 ライフウコウ)変化なき生活―結婚

  性質

  恒は恒久を示す卦である

  震の卦が巽の卦に乗っている卦で、陽卦は上にあって動いて(震)、陰卦は下にあって従う(風、巽)ということ、またどの爻も正応であるということは、不変の道理の体現であり、極めて安定的であることから恒久という性質を示す

  大象は雷鳴が轟き風が吹くことで、これは互いを伴って起こるという道理と双方が協力し合うことによる安定を示す

  

  ・恒は、亨る。咎なし。貞しきに利し。往くところあるに利し。

    ―すべて上手くいく。咎めを受けることは無い。道理に即して進めば良い。進んで行くに良い。(恒久は変化を拒絶することではない、安定した四季の循環のように、事物の変化の道理に即して前に進むことが恒久の要点である)

  

  ・初六、淩く(フカク)恒(ツネ)にす。貞しけれども凶にして、利しきところなし。

    ―恒久の道を進むために、相手に深く協同を求める。正しいが失敗し、良いところはない。(陰卦たる巽の主体で深く入ろうとするが、初爻であって周りの状況を読み切れず、九四と上手く応じることができない)

  ・九二、悔亡ぶ。

    ―後悔するような事態はない。(不正だが中爻)

  ・九三、その徳を恒にせず。或はこれを羞(ハジ)を承む(ススム)。貞しけれども吝なり。

    ―自身の徳を保てず、誰かの非難を受ける。正しいところがあろうとも、同じ結果になる。(中爻でなく剛健が過ぎる、上六と応じようと無理に自分の位置を離れる)

  ・九四、田(カリ)して禽(エモノ)なし。

    ―狩りに出ても何も得られない。(不正、長いこと正しくない地位にいても得るものは無い)

  ・六五、その徳を恒にして貞し。婦人は吉なり。夫子(フウシ)は凶なり。

    ―柔順の徳を恒久に保つ。女の性質を持つものは吉だが、男の性質を持つものは凶である。(九二と中正、従うのは柔順の徳を持つものにとってのみ正しい)

  ・上六、振ふ(フルウ)こと恒なり。凶なり。

    ―常に動く。恒久は変化の中にあるとは言え動き過ぎて、恒久の道理から外れてしまい、凶。(恒の極致で震の極致)

 

前←易(二十)-周易六十四卦-習坎・離

次→易(二十二)周易六十四卦-遯・大壮

スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です